数値や画像には映らない、でも確かにそこにある「気のせい」な揺らぎ。
東洋医学という、少し不思議でやさしいレンズを覗きながら、日々の澱(おり)をほどき、心を満たして歩んでいくための静かな備忘録です。

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【インフル流行】「内傷なければ外邪入らず」。1.6倍の数字に、心までカチコチに強張る前に。

日常の澱を解く
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【速報】全国のインフルエンザ感染者数 1医療機関あたり「1.76人」 前週の約1.6倍 10週連続で増加 厚生労働省発表 (出典:Yahoo!ニュース / TBS NEWS DIG)

秋から冬にかけて、あるいは季節の変わり目になると、決まってスマホの画面をこのような「感染者数急増」のニュースが飛び交うようになります。

「1.6倍」「10週連続で増加」

こうした無機質な数字を目にした瞬間、私たちの脳裏には「かかったらどうしよう」「アルコール消毒を徹底しなきゃ」「絶対に予防しなければ」という、かすかな焦りと不安(澱)がよぎります。

スマホを握りしめながら、知らず知らずのうちに肩をいからせ、呼吸を浅くしている。 ウイルスの流行という「自分では決してコントロールできない外側の不条理」を前に、私たちの自律神経はすでに、見えない敵と戦う「戦闘モード(交感神経の異常な興奮)」にハックされてしまっているのです。

しかし、臨床の現場に立って20年。 日々、多くの患者さんの身体と向き合い、そして他ならぬ自分自身の身体を実験台にしながら、私が出した答えは、世間の喧騒とは少し違う場所にあります。

実は私自身、インフルエンザのワクチンはもう20年近く打っていません。

これはワクチンの是非を問いたいわけでも、西洋医学の予防を否定したいわけでもありません。
ただ、東洋医学というやさしいレンズを通して世界を眺めたとき、もっと根本的で、もっと自分の手に暮らしを取り戻せる「身体のルール」があることに気がついたからです。

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「内傷なければ、外邪入らず」

東洋医学には、私の座右の銘でもある、とても美しい言葉があります。

「正気(せいき)内に存すれば、邪(じゃ)干す(おかす)こと能わず」

そして、「内傷(ないしょう)なければ、外邪(がいじゃ)入らず」

これらは、身体の内側にしっかりとしたエネルギー(正気)が満ちていて、不摂生による内側の乱れ(内傷)がなければ、ウイルスなどの外からの病気(外邪)が入り込んで悪さをすることはできない、という意味です。

現代の私たちは、マスクをし、手を荒らしながらアルコール消毒を繰り返し、外側の「敵(邪)」を排除することばかりに血眼になっています。
ですが、そうして外側の検品ばかりに神経をすり減らし、ニュースの数字に怯えて夜も眠れず、自律神経がボロボロになって「内側のバリア(東洋医学ではこれを『衛気(えき)』と呼びます)」がカチコチに破れてしまっていたら?

どんなに手を消毒しても、ウイルスはたやすく内側の澱みへと侵入してしまいます。

本当の意味で自分を守るために必要なのは、外側のウイルスを100%排除する魔法ではなく、「自分の内側の庭(コンディション)を、常に健やかに、風通しよく耕しておくこと」なのです。

かかるときは、かかる。それでいい。

「正気を満たしておけば、絶対に病気にかからない」などという傲慢なことを言うつもりはありません。

どれだけ気をつけて、どれだけ養生していても、かかるときは、かかります。
ウイルスとは、そういうものです。

大切なのは、「もしインフルエンザにかかってしまったとき、それをどう受け止めるか」という、自分の心身に対するスタンス(主導権)です。
私は、もし自分が風邪をひいたり、ウイルスをもらって熱を出したりしたときは、こう思うようにしています。

「ああ、かかってしまったか。ということは、最近ちょっと無理をして、自分の心身をないがしろにしていた(不摂生があった)んだな」と。

病気を「外からやってきた憎い敵」として恨むのではなく、「自分の内側の調律が乱れていたことを教えてくれた、身体からの便り」として、ただただ謙虚に、静かに反省する。

そして、スマホをそっと裏返して、すべてのノイズをシャットアウトし、温かい布団を深く被って、泥のようにただひたすら眠るのです。

「絶対に病気にかかってはいけない」という、あのカチコチに強張った義務感から自分をそっと引き算してあげること。 「かかった時は、自分の身体の声に耳を傾けて、ゆっくり休むタイミングなんだ」と受け入れるゆとりを持つこと。

この「降伏(泣き寝入り)の余白」こそが、自律神経の過緊張をふわりとほどき、結果的に私たちの免疫(正気)を最大に引き上げてくれる、一番の特効薬なのだと実感しています。

消毒液を吹きかける前に、深く息を吐き出す

今、画面の向こうで急増する数字を見て、なんだか胸のあたりが重くなっているなら。

まずは、そのスマホをパタンと閉じてみませんか。

外側の嵐(ニュースの流行)を、私たちの力で一瞬でゼロにすることはできません。
けれど、今ここにある、自分の呼吸の深さを調律することは、今この瞬間から自分で選べます。

お気に入りの温かいお茶を、ゆっくりと一杯淹れる。
カチコチになっていた喉の奥をスッとほどくように、深く、深く、息を吐き出す。

これだけで、脳の警戒アラームは鳴り止み、あなたを包む「内側のバリア(衛気)」は静かに、でも確実に、その輝きを取り戻し始めます。

今夜は外のノイズをすべて片付けて、自分をいたわる温かい夜を過ごしましょう。

(※もし、外の嵐に怯えずに、自分の「内側のコンディション」を底から温めて調律するための、私なりの小さなお守りに興味がありましたら、こちらの思索もそっと置いておきます。)

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色々なことがある毎日。頭や心に「澱(おり)」が溜まりそうな夜は、自分で自分の「気」を調律してあげるのが、一番やさしい解決策かもしれません。

日々を養生する
伝統的な東洋医学に基づき、現役鍼灸師が実践する「養生」の記録。お灸や眠り、心の整え方など、数値に頼らず自分の「心地よさ」を取り戻すためのセルフケアと思索の跡。

私が毎晩、布団に入る前に実践している、お灸や呼吸といった、数値を追わない「小さな養生の知恵」をこちらに置いておきます。

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忙しない日々で強張る五感(目・耳・鼻・肌・心)を優しくほどく、暮らしの道具たち。臨床20年の鍼灸師とふが、自律神経を調律し、今日を優しく着地させるために実際に救われ、愛用している「お守り」のようなアイテムをストーリーと共に紹介します 。

臨床20年の鍼灸師の私が、実際に自分の暮らしの中で試行錯誤し、本当に救われた「暮らしのお守り」たちのお話です。

とふ

臨床20年。鍼灸師の目線で、世の中をふんわりと眺めています。
日常のあれこれも、結局は「全部、気のせい(気の状態)」。 そんな風に感じたこと、見つけたことを、気ままに書き留めておく備忘録です。

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