数値や画像には映らない、でも確かにそこにある「気のせい」な揺らぎ。
東洋医学という、少し不思議でやさしいレンズを覗きながら、日々の澱(おり)をほどき、心を満たして歩んでいくための静かな備忘録です。

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息苦しい「無菌室」で生きる私たちへ。コンプラ社会の強張りと、自分の軸を耕す養生。

日常の澱を解く
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「男性上司が女性部下と一対一で打ち合わせをする場合には、正面ではなく斜めに向かい合って座ることが推奨されています」 「女性の部下を直視するのはセクハラになりかねない……どうしても見つめる場合は3秒以内にしてください」 「50代の男性社員が40代の女性社員に何の気もなく『子供さんは元気ですか?』と聞いたところ、ハラスメント発言だとして新設されたばかりのコンプラ係に駆け込まれてしまった」 (出典:デイリー新潮 / Yahoo!ニュース)

スマホの画面をスクロールするたびに、私たちの目に飛び込んでくる、現代の「オーバーコンプライアンス(過剰適応)」をめぐる戸惑いや苦笑いのニュース。

「斜めに座るルール」に、「3秒以上の凝視禁止」、さらには「出身地」や「子供の話題」を尋ねる日常的な挨拶すら、一瞬にして「個の侵害」として通報の対象になり得る社会。

こうした実例を目にするたびに、私たちはどこか息苦しく、胸の奥がキューッと縮こまるような感覚を覚えます。

「一歩踏み外したら、自分も突然ハラスメントの『加害者』にされるかもしれない」 「余計なことは言わないでおこう、誰にも近づかないでおこう」

そんな薄氷を履むような緊張感の中で、現代の私たちは知らず知らずのうちに肩をいからせ、呼吸を浅くし、他人の顔色を窺って生きています。オフィスにいながらにして、私たちの自律神経は常に、目に見えない敵と対峙している「戦闘モード(交感神経の異常な興奮)」にハックされてしまっているのです。


「余裕のなさ」と「アップデートの遅れ」がぶつかり合う街

この息苦しい現象の根っこを、臨床の現場から眺めていると、今の社会が抱える二つの「歪み」が、お互いをカチコチに締め上げている姿が見えてきます。

一つは、私たち現代人の「圧倒的な余裕のなさ」です。

本来なら、人間関係の潤滑油であったはずの不器用な挨拶や、ちょっとした言葉の「揺らぎ(ノイズ)」すら、今の私たちは許容できなくなっています。それは誰もが日々、脳の過労やストレスで心身がカラカラに乾ききっており、他人の言動を優しく受け流すための「心の余白(自律神経のしなやかさ)」を失ってしまっているからです。

だからこそ、他人のちょっとしたノイズに過剰に反応し、「検品」するようにルールで排除(通報)しようとしてしまう。

しかし、もう一方で、「本当にコンプライアンスや、他者への最低限の想像力が理解できていない中高年が多い」というのも、また逃れようのない切実な事実です。

自分の若い頃の古い「常識」や、無神経な距離感のまま部下を指導したり、プライベートに踏み込んだりして、相手を深く傷つけてしまっているケースも非常にたくさんあります。それを自覚している管理職は、指導そのものが「相手の否定(ハラスメント)」になるのではないかと怯え、過度に萎縮して指導を放棄してしまう。

「相手の揺らぎを一切許せない、余裕を失った人々」と、「アップデートができず、無自覚に人を傷つける人々」。 この両者が、コンプライアンスという冷たい鉄の壁を挟んで、お互いに自律神経をカチコチに強張らせながらぶつかり合っている。

東洋医学のレンズを覗けば、これは社会全体が、一滴の「気」の通い合いも許されないほどに冷え切り、エネルギーが滞って強張ってしまった、巨大な「気の鬱滞(気の滞り)」の状態そのものなのです。


社会のルールより、自分の「心と体」を強く、しなやかに

「では、この息苦しい社会システムをどう変えていくべきか?」

多くの論者がネット上で議論を戦わせていますが、実は、そんな社会全体の難問は、一度全部脇へ置いてしまっても構いません。 空の気圧やお天気と同じで、私たちがいくら頭を悩ませても、社会全体の歪みを一瞬でコントロールすることは100%不可能だからです。

そんな終わりのない「外側のゲーム」に、あなたの大切な命の時間と、繊細な自律神経を付き合わせる必要はありません。

それよりも、「外の世界がどれだけピリピリしていようが、そんなものはどうでもいいと思えるくらい、自分の心と体を強く、しなやかにしていくこと」。 これこそが、この息苦しい無菌室のような社会を健やかに生き抜くための、最も合理的で、最も優しいサバイバル戦略です。

ここでいう「本当の強さ」とは、他人の言葉を跳ね返すような、カチコチの硬い鎧を身にまとうことではありません。

「自分にとって、何が本当に心地よいのか」 「自分にとって、何が本当に大切なのか」

その自分だけの物差し(感性)を、いつも曇りのないクリアな状態に保ち、自覚できていること。 文章やルールに縛られず、自分の軸が少しだけブレてしまったときに、「お灸を据えて、深く眠る」という、自分を心地よい真ん中の場所へと連れ戻してあげられる調律の技術を持っていることです。

自分の内側の庭(コンディション)が、温かく、風通しよく耕されていれば、画面の向こうの無機質なノイズや、オフィスの張り詰めた空気に、あなたの心の真ん中まで侵食されることはありません。

外の不条理に主導権を渡さず、ただ、自分の心地よさを守り抜く。

今夜は、その息苦しいニュースが流れるスマホの画面をパタンと閉じて、お気に入りの温かいお茶を一杯淹れてみませんか。

他人の物差しで自分を検品するのをやめて、まずは深く、深く息を吐き出す。 そして、今日一日、張り詰めた空気の中で頑張ってくれたあなたの足元に、小さなお守りの火(お灸)を据えて、温かいぬくもりを身体の底に引き算してあげる。

そうして、外側の嵐をそっと閉ざした静かな寝室で、泥のようにただひたすら眠る。

あなたがあなたのために起こしたその優しい一歩こそが、カチコチに強張った自律神経を、スッとほどく最初の温かい風になります。

理不尽な泥水やノイズを投げつけられた時、戦うのではなく『そっと境界線の門を閉ざして、自分の最大のアセット(自律神経)を守り抜く』具体的な自衛のプロセスについては、こちらの過去の備忘録でも詳しく書いています。

【Googleマップ】個人経営こそ「返信しない」が最大の防衛策。悪質クチコミから自分のアセット(自律神経)を守り抜くために。
個人経営にとって最大のアセットは「最高のコンディションでお客さんに向き合える気の状態」です。Googleマップの悪質クチコミに対し「返信しない」ことは、逃げではなく、自分の大切な庭(心身)を守るための冷徹で合理的な経営判断。お灸の温もりに還る、極上の防衛論です。
【旭化成ホームズ騒音被害】大手の壁と泣き寝入り。それでも「自分で動いた」というプロセスが、私の自律神経を救ってくれた話。
旭化成ホームズの騒音被害による不眠と自律神経の乱れ。大手の冷徹な対応に「泣き寝入り」した実体験から、同じ境遇で一人抱え込み悩む個人へ贈る生存戦略です。行政、無料弁護士相談、施主への簡易書留など、自分の心身を守るため声を上げ主導権を取り戻すプロセスの価値を伝えます。

※外側のギスギスしたノイズに心をすり減らさず、毎晩自分の「気」をふわりと調律するための、私なりの小さなお守りの知恵に興味がありましたら、こちらの思索もそっと置いておきます。

とふ

臨床20年。鍼灸師の目線で、世の中をふんわりと眺めています。
日常のあれこれも、結局は「全部、気のせい(気の状態)」。 そんな風に感じたこと、見つけたことを、気ままに書き留めておく備忘録です。

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