SNSのタイムラインを眺めていると、タレントの武井壮さんが投稿した一文が強く心に刺さりました。
過激な言葉や怒り、不安を煽って注目を集めさえすればお金になる「アテンション・エコノミー(注目集め至上主義)」の構造。それによって、地道な研鑽や誠実な手仕事が嘲笑され、暴力や迷惑行為にまで表の金が集まる現代への深い警鐘でした。
「そんなものには何も与えねえぞっていう心と知性が必要な時代だ」
武井さんの言葉に、深く深くうなずきながら、私は臨床の現場で多くの人の自律神経と向き合ってきた者として、強い危機感を抱いていました。
現代社会は、知らず知らずのうちに、「脳と自律神経が強烈な刺激にハックされた刺激中毒」に陥っているのではないか、と。
強い刺激ばかり追いかけると、繊細な感覚が麻痺する
怒りや煽り、過激な炎上、一瞬で変わる派手な演出。 刺激的な情報が画面から次々と飛び込んでくるとき、私たちの脳内ではドーパミンが過剰に分泌され、自律神経は「いつ敵から攻撃されるか分からない」と交感神経の緊張(過覚醒)を強め続けます。
東洋医学の目線で見れば、これは気(エネルギー)や血がすべて頭部に上り詰め、激しくのぼせている「上実下虚」の状態です。
激辛の料理ばかり食べ続けていると繊細な味が分からなくなるのと同じで、日常的に過激な刺激を浴び続けていると、私たちの脳は「普通の静かさ」や「ささやかな温もり」を感じ取る繊細な感性を失っていきます。
結果として、休むためにスマホを見ているはずなのに、自律神経は休まるどころか戦闘モードに固定され、お腹や足元がスカスカに冷え切っていく。
世の中を覆う不快なノイズに胸を痛めたり怒りを覚えたりするのも、実はあなたの脳と自律神経が、その強い刺激にまんまとハックされている証拠なのかもしれません。
「何も与えない」という、最大の防衛策
武井さんが訴えた「そんなものには何も与えない知性」とは、東洋医学や自律神経の観点から言っても、自分自身の命のアセットを守り抜く「最強の引き算(養生)」です。
流れてくる不快な言動に「なんなんだこれは」と怒ったり、反応してリポストしたり、わざわざ議論を追ったりする行為。それは、あなたの大切な正気(エネルギー)を、相手の過激なノイズに差し出しているのと同じことです。
相手に反応しない。過激な数字や言葉からそっと視線を外す。 「自分はこの狂騒の土俵には乗らない」と静かに心を決めること。
それは逃げでも諦めでもなく、自分の自律神経と静かな暮らしを守り抜くための、能動的で知的な防衛反応なのです。
外のノイズを伏せ、自分の「ぬくもり」に戻る
他人の過激な言葉や、一瞬でバズる派手な演出に心を差し出す必要はありません。 本当にあなたを土台から支えてくれるのは、誰も見ていないところでコツコツと育んできた、あなた自身の誠実な暮らしと、健康な身体だけです。
情報が多すぎて脳がのぼせていると感じる夜は、迷わずスマホを裏返してみてください。
そして、冷え切った自分の足先や足首を、自分の手のひらでそっと包み込んであげる。 そこに、ちいさなお灸の火をポッと灯す。
温かい熱が皮膚からじんわりと浸透し、頭に昇りつめていた冷たい怒りやノイズが、足元へと静かに解け落ちていくのを感じるはずです。
外側の狂騒を1秒で静める魔法はありませんが、自分の足元を温め、今ここにある手触りを取り戻すことは、今夜から誰にでも選べます。
過激な世界に何も与えない知性を持って。 今夜は画面をパタンと閉じて、静かで温かい自分の身体へ帰っていきませんか。
🍵 合わせて読みたい思索の跡


🕯️ 日々を養生する
色々あった一日だけど、今夜は画面を閉じて、自分をいつくしむ「庭師」の時間にしませんか。
臨床20年の私が、毎晩の布団に入る前に実践している、自律神経をふわりと整えるためのお灸の知恵をこちらに置いておきます。

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