ドライヤーを掛けながら膝でスマホを挟み、トイレの中でも無限にショート動画をスクロールする。一瞬の退屈すら我慢できずに刺激を求め続ける状態を、ネットスラングで「ドパガキ(ドーパミン中毒)」と呼びます。
しかし、この「ドパガキ」の正体は、単に動画をダラダラ見続けてしまう視聴者側だけの問題ではありません。
先日、チャンネル登録者数で世界的な記録を打ち立てた超有名YouTuberの成功と挫折、そして「早く逮捕されろと思っていた」とまで元相方に語られた裏側についてのニュースを目にしました。
挫折やコンプレックスを糧に、異常なほどの上昇志向で目に見える「数字(登録者数や再生数)」を追い求めた結果、周囲や自分自身の精神を削り伸ばし、最後は人間関係や平穏な日常が壊れていく——。
これは決して特殊な有名人の話ではありません。目に見える数字という強力な刺激に脳をハックされ、際限のない上昇志向の渦中で自分を見失ってしまう現代人の、最も象徴的な姿なのです。
1. 大昔から遺伝子レベルで繰り返される「数字の因果応報」
私たちは「自分はもっと賢く、数字や承認に振り回されずに生きられる」と思いがちです。
けれど、歴史や人間の本能を振り返れば、目に見える成果や数字(地位、富、フォロワー数、評価)を追い求めるあまり、自分の心身や身近な人間関係を破壊してしまう愚かさは、大昔から何ひとつ変わっていません。
人間には、数字が増えるたびに脳内でドーパミンが大量に分泌され、「もっと、もっと」と加速していく強烈な本能が刻まれています。遺伝子レベルで仕組まれたこの仕組みに飲み込まれると、人は倫理観や自分の身体の悲鳴すら無視して暴走してしまいます。
そして、目に見える数字の獲得と引き換えに、心身の健康や大切な人との信頼を失っていく。まさに目に見える結果としての「因果応報」です。
私たちがYouTubeやSNSの狂騒から本当に学ぶべきなのは、成功のノウハウでも数字の伸ばし方でもありません。「目に見える数字に人生の主導権を渡すと、人はどれほどあっけなく自滅していくか」という、恐ろしい人間の業(ごう)の教訓なのです。
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2. 歪んだ気血と、失われていく「自分を診る力」
脳が「もっと数字を、もっと刺激を」と過緊張を起こしているとき、東洋医学的に診ると身体の中では様々な「気血の歪み」が発生しています。
- のぼせ(上実下虚):脳内にアドレナリンやドーパミンが暴走し、熱と気が頭部に上り詰めて足元が冷え切っている状態。
- 気血両虚(エネルギーの枯渇):四六時中、数字や情報という強い刺激に晒され続けた結果、生命力をすっかり消耗し、「自分が何をしたいのか、どう感じているのか」という思策の気力すら失われている状態。
- 気鬱・神(しん)の失調:刺激に慣れすぎて生身の感性が麻痺し、酒やさらなる激しい刺激を足し算しなければ自分を保てなくなっている状態。
「自分は大丈夫」と思っていても、情報や数字を追いかける手が止まらない夜、あなたの自律神経と気血は確実に悲鳴を上げています。
現代社会の仕組みそのものが、私たちを「ドパガキ」へと誘い込むようにできているからこそ、自分の意志の強さに頼るのではなく、意識的に「外側の数字を引き算する」という手当てが必要なのです。
3. 数字のレースから降り、足元に一粒のお灸を灯す
今夜は、スマホの画面をそっと裏返し、通知も数字もすべて目の届かない場所へ遠ざけてみてください。
そして、過熱した頭や乾き切った心から意識をそっと引き降りて、静かな部屋で自分の足元に手で触れてみる。
冷え切った自分の足先や足首を、手のひらで包み込むようにそっと触れると、日中の強張りがじんわりと解けていきます。そこに、小さなお灸をポッとひとつ灯してみる。
艾(もぐさ)から立ち上る柔らかい温もりが足元から身体の奥へと広がっていくと、頭の中に渦巻いていた過剰な数字や刺激(ノイズ)が、すーっと下へ解け落ちていくのを感じられるはずです。
目に見える数字を競い合う世界から、一度そっと降りること。
1秒の退屈も許せなかった脳を休ませ、今夜は「ただ自分の息が通っている」という生身の温もりに戻る夜を過ごしてみませんか。
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「動画視聴と過刺激への引き算養生」

🕯️ 日々を養生する
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