🕯️「気のせい」なゆらぎを、お灸でそっと整えて。

数値や画像には映らない、でも確かにそこにある「気のせい」な揺らぎ。
東洋医学という、少し不思議でやさしいレンズを覗きながら、日々の澱(おり)をほどき、心を満たして歩んでいくための静かな備忘録です。

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【「老害」の恐怖とお灸】言いたいことを呑み込む沈黙の過緊張。「伝え方」を整え、気を巡らせる養生。

日常の澱を解く
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「若者から老害扱いされるのが怖くて、何も言えなくなった」

最近、メディアやSNSでこうしたベテラン世代やミドルエイジの声をよく耳にします。 職場で後輩の指導をするとき、あるいは日常のちょっとした場面で、「こんなことを言ったらハラスメントだと思われるのではないか」「老害と揶揄されるくらいなら、黙っていた方が安全だ」と、言いたい言葉を喉の奥でギュッと押し殺してしまう。

ラッパーの呂布カルマ氏がニュースで「嫌われるのを恐れて言いたいことを言わなくなったら終わりだ」と語り話題になっていましたが、まさに今、多くの人が「沈黙という名の安全地帯」へ逃げ込み、胸の中にモヤモヤとした澱(おり)を溜め込んでいます。

トラブルを避けるために口をつぐむ。それは一見、波風を立てない賢い大人の対応に見えるかもしれません。

けれど、臨床の現場で患者さんの身体に触れ続けていると、その「言いたいことを呑み込み続ける沈黙」が、どれほど深く心身を傷つけ、自律神経をカチコチに強張らせているかが手に取るように分かります。

言葉を押し殺すとき、身体で起きている「気の鬱滞」

東洋医学では、感情や思考、伝えたい想いといったエネルギーもすべて「気(き)」の巡りのひとつと考えます。

何かを感じ、伝えたいという内側からの働きがあるにもかかわらず、「拒絶される恐怖」や「評価される不安」から力づくでそれを塞ぎ止めると、行き場を失った気は胸や喉のあたりで激しく渋滞を起こします。

これが、東洋医学でいう「気の鬱滞(うったい)」です。

言いたいことを呑み込んだ日の夜、こんな身体のサインに心当たりはないでしょうか。

  • 首筋から喉の奥にかけて、何か詰まっているような不快感がある(梅核気・ばいかくき)
  • 胸の奥がカッと熱く重くなり、呼吸が浅く浅くなっている
  • 頭の中に相手の顔や反論がぐるぐると渦巻き、足元が冷え切っている

脳は常に「攻撃されるかもしれない」「変な風に思われたくない」と警戒アラームを鳴らし続け、激しい過覚醒(のぼせ)状態に陥っています。

「波風を立てないための沈黙」を選んだはずなのに、その代償として、自分自身の自律神経と循環を削り取ってしまっているのです。

悪いのは「伝えること」ではなく、「昔の温度のまま渡すこと」

では、私たちは若者や周囲に対して、昔と同じように怒鳴ったり、自分の価値観を力づくでぶつければいいのでしょうか?

もちろん、それも違います。
自分が過去にされて嫌だった乱暴な指導や威圧的な言い方をそのまま相手にぶつけるのは、東洋医学でいう「頭に血が上り切った高熱ののぼせ」です。相手も激しく防衛反応を起こし、お互いの気が傷つくだけで終わってしまいます。

ここで大切なのは、「言うか、黙るか」という極端な二者択一を手放すことです。

問題なのは「伝えること」そのものではありません。 「自分が昔受けてきた昔の温度や容れ物のまま、相手に差し出そうとすること」が噛み合わないだけなのです。

昔のやり方が通用しないからといって「何も言わない」という極端な沈黙に逃げ込むのは、せっかく人生の中で培ってきたあなたの経験や知恵、そして相手を想う優しさ(正気)を投げ捨ててしまうようなものです。

周囲の目や時代に合わせて、「相手が受け取りやすい温度と言葉の容れ物」へとしなやかにアップデートする

そのほんの少しの調律(配慮)さえあれば、あなたの言葉は「老害の押し付け」ではなく、相手の心にすーっと染み込む「温かい手当て」へと変わります。

自分自身の成長を止めないためにも、そして次の世代に大切な循環を渡すためにも、逃げずに伝え方を工夫し続ける姿勢こそが、あなたの軸(正気)を力強く耕してくれるのです。

画面のノイズを閉じ、「いま、ここ」の体温に戻る

「嫌われたくない」という恐怖にハックされ、言葉を押し殺してカチコチに冷え切ってしまった夜。

まずは、他人の評価やSNSのノイズを画面ごとパタンと閉じましょう。

言葉を呑み込んで胸や喉の奥が重くなっているときは、頭ばかりに血が上り、足元から気が完全に抜け落ちています。

温かいお茶を一口含んだら、冷え切った自分の足元を、両手でそっと包み込んでみてください。

そして、その冷えた肌の上に、小さなお灸の火をひとつ、静かに灯してみる。

じわりと肌の奥へ染み込んでいく温熱を感じながら、カチコチになっていた胸の奥から、深々と息を「ふぅーっ」と吐き出します。

のぼせ上がっていた気が足元へスーッと降りていくとともに、喉の奥のつかえが解け、心身が「いま、ここ」の体温へと着地していきます。

他人の顔色に怯えて沈黙に閉じこもる必要はありません。 相手に届く優しい温度へ言葉を整え、明日もまた、誠実に自分の足元を巡らせていきましょう。

とふ

臨床20年。鍼灸師の目線で、世の中をふんわりと眺めています。
日常のあれこれも、結局は「全部、気のせい(気の状態)」。 そんな風に感じたこと、見つけたことを、気ままに書き留めておく備忘録です。

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