🕯️「気のせい」なゆらぎを、お灸でそっと整えて。

数値や画像には映らない、でも確かにそこにある「気のせい」な揺らぎ。
東洋医学という、少し不思議でやさしいレンズを覗きながら、日々の澱(おり)をほどき、心を満たして歩んでいくための静かな備忘録です。

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【過刺激とお灸】「ドパガキ」と呼ばれた夜。一瞬の退屈を恐れる脳と、足元を温める養生。

日常の澱を解く
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ドライヤーをかけながら膝でスマホを挟み、入浴中も壁に画面を固定し、トイレでも無限にスクロールを繰り返す。 1本数秒のショート動画を次々と追いかけ、一瞬の「退屈」すら我慢できずに刺激を求め続けてしまう——。

最近、SNSで「ドパガキ(ドーパミン中毒のガキ)」という強烈な言葉を見かけるようになりました。

これは元々、常に強い刺激を求め続ける人を揶揄するネットスラングですが、記事やSNSの反応を読んでいると、若者だけでなく大人であっても「……あれ、これ完全に今の私じゃないか?」と自虐交じりに苦笑いしてしまう人が溢れているようです。

四六時中スマホを握りしめ、一瞬の隙間すら動画やSNSで埋め尽くそうとする「ドパガキ」な状態。 臨床の現場で長年、人の身体や自律神経と向き合ってきた立場から見ると、これは単なる怠惰や依存ではなく、「脳と自律神経が強い刺激にハックされ、激しいのぼせを起こしている危険なシグナル」に他なりません。

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刺激を入力し続ける脳は、1秒も休めていない

なぜ私たちは、これほどまでに「ドパガキ」になってしまうのでしょうか。

現代のアプリやSNSは、私たちの脳からドーパミン(快楽や期待感をもたらす脳内物質)を搾り取るように精巧に設計されています。次々と流れてくる切り抜き動画や無限スクロールは、脳に「次にもっと面白い刺激があるかもしれない」という期待を抱かせ、画面を閉じるタイミングを失わせます。

そうして四六時中、強い刺激を入力し続けているとき、私たちの脳と自律神経は激しい過覚醒状態に陥っています。

東洋医学では、このように情報や刺激の摂り過ぎで気(エネルギー)や血が頭部に集中してしまう状態を「上実下虚(じょうじつかきょ)」と呼びます。

頭には「ドパガキ」特有の激しい熱が上りのぼせる一方で、本来温まるべきお腹や足元は冷え冷えと放置されてしまう。 身体は「何もしていない退屈な時間」を「不快なもの・損なもの」と誤認し、休まる暇もなく交感神経を緊張させ続けているのです。

「退屈」とは、自律神経にとって最高の休日である

「ドパガキ」状態に陥っている人が本当に失っているもの。 それは、時間や集中力だけではありません。脳と身体が自分自身を修復するために不可欠な「何もしないぼんやり時間(余白)」です。

本来、あてもなくボーッと窓の外を眺めたり、ただ温かいお茶の湯気を眺めたりする「退屈な時間」こそが、のぼせ上がった脳の熱を静かに冷却し、自律神経を副交感神経(リラックス)へと切り替える最高の休日でした。

しかし、一瞬の退屈すら耐えかねてスマホを覗き込んでしまうと、脳は「休日」を奪われ、慢性的な過緊張と疲労を溜め込んでいきます。 「なんとなく疲れる」「情報量が多すぎて頭が重い」というSNS疲労の正体は、脳が発している「もう刺激はいらない、熱を冷ましてくれ」という悲鳴なのです。

自分の中の「ドパガキ」を責めずに、画面を伏せる

もし、今夜もトイレや布団の中でスマホを握りしめ、「また私、ドパガキみたいな夜を過ごしてしまった……」と落ち込んでいるなら。

自分を責める必要は一切ありません。現代社会の仕組みそのものが、私たちを「ドパガキ」へと誘い込むようにできているからです。 大切なのは、自分が刺激中毒にハックされている事実にハッと気づき、意識的に「刺激の引き算」をしてあげることです。

スマホをパタンと裏返し、画面の眩しい光を遠ざける。 そして、過熱した頭から意識をそっと引き降りて、冷え切った自分の足先や足首を、自分の手のひらで優しく包み込んでみてください。

そこに、ちいさなお灸の火をポッと灯す。

カチコチだった足元にじわーっと温かい熱が広がっていくと同時に、頭の中に渦巻いていた過剰な刺激(ノイズ)が、足元へと静かに解け降りていくのを感じるはずです。

1秒の退屈も許せなかった「ドパガキ」な脳を休ませ、今夜はただ、自分の体温(正気)を取り戻す静かな夜を過ごしてみませんか。

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とふ

臨床20年。鍼灸師の目線で、世の中をふんわりと眺めています。
日常のあれこれも、結局は「全部、気のせい(気の状態)」。 そんな風に感じたこと、見つけたことを、気ままに書き留めておく備忘録です。

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