🕯️「気のせい」なゆらぎを、お灸でそっと整えて。

数値や画像には映らない、でも確かにそこにある「気のせい」な揺らぎ。
東洋医学という、少し不思議でやさしいレンズを覗きながら、日々の澱(おり)をほどき、心を満たして歩んでいくための静かな備忘録です。

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【ゲームとお灸】eスポーツを「カロリー」で測る違和感。スポーツに当てはめず、神経と心神を燃やす「ゲームの過緊張」を解く養生

日常の澱を解く
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「eスポーツ選手もゲーム中に激しくカロリーを消費しているのか?」

そんな素朴な疑問に対して、世界的な研究チームが興味深い調査結果を発表したニュースが話題になっています。

チェコのマサリク大学などに所属する研究チームが学術誌『Sports Medicine – Open』で発表した論文(Energy Expenditure of Esports Athletes During Gameplay: A Systematic Review)によると、プロやアマチュアの選手が『League of Legends』『FIFA』などをプレイしている際の生理学的データが分析されました。

その研究データによると、ゲーム開始からわずか10分で、プレイヤーの心拍数は安静時の毎分85回程度から137回/分へと急上昇していました。これはモータースポーツの運転中や、非常に難しい試験を受けている最中のような強烈なストレス・緊張状態に相当します。

しかし、その一方で呼気ガス分析による実際のエネルギー消費量は1分間あたり1.3〜2.5kcal程度(安静時のわずか10〜40%増)にとどまり、全体的な運動量としては「座ったままの軽い活動」と同等であることが実証されたのです。

つまり、心拍数が跳ね上がるのは身体を肉体的に動かしたからではなく、極限の集中やプレッシャーによる「精神的ストレス」が原因であると結論づけられています。


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1. 「何カロリー消費したか」という数値で生身を測る浅はかさ

この研究データ自体は非常に客観的で誠実な調査です。しかし、このニュースが広まる中で「eスポーツは運動と同等か?」「カロリーを消費しないならスポーツじゃない」といった議論が交わされる様子を見ていると、臨床20年の鍼灸師として、どこか深いため息と違和感を禁じ得ません。

現代人は、何でも「何カロリー消費したか」「数値(データ)としてどれだけ成果が出たか」という土の計算(数字ののぼせ)で物事を判別しようとします。

けれど、汗を流して全身の筋肉を動かす「有酸素運動(動の散熱)」と、椅子に座って指先と目だけを動かしながら頭をフル回転させる「ゲーム(静の過緊張)」では、体内の気血(エネルギーと血液)の巡り方はまったく真反対です。

運動で身体を動かすときは、筋肉に血が巡り、皮膚の発汗を通じて余分な熱が外へと放射されていきます。

一方、ゲームの緊迫した局面では、身体は「不動」のまま、意識と自律神経、そして目の「血(けつ)」が内側で猛烈に引き絞られています。カロリーの数字としては「座っているだけ」に見えても、生身の体内では、東洋医学でいう自律神経や精神の司令塔「心神(しんしん)」と「肝血(かんけつ)」が激しく摩擦を起こし、すり減っているのです。


2. 心拍数137回/分の正体——身体が動かない「上実下虚(のぼせ)」

10分で心拍数が137回まで跳ね上がる。この数値は、ゲーマーであれば誰しも体感として深く納得できるはずです。

立ち回りの一瞬の判断、クラッチ(絶望的な状況からの逆転)、あるいは強大なボスとの死闘——。

あの瞬間、私たちの呼吸は浅くなり、時には無意識に息を完全に止めたまま、画面の数ピクセルを睨みつけています。心臓はバクバクと鐘のように鳴り響き、手のひらには嫌な冷や汗が滲む。

東洋医学で診れば、これは身体が運動によって温まっているのではなく、気(エネルギー)と熱がすべて頭部へ一気に集まり、下半身から気が抜け落ちている「上実下虚(じょうじつかきょ)」の極限状態です。

身体を動かして熱を発散できない分、頭に上り詰めた熱(心火・肝火)はどこにも逃げ場がありません。首筋や肩の筋肉はカチコチに固まり、お腹や足元はスーッと冷えていく。

「たかがゲーム」と外部が笑おうとも、その体内では、肉体労働とはまったく質の異なる「重厚で強烈な過緊張」が嵐のように渦巻いているのです。


3. 「スポーツ」の枠にすり寄せず、ゲームという独自のドラマを愛おしむ

私自身、趣味としてゲームを嗜みますが、だからこそ強く思うことがあります。

それは、「ゲームをわざわざ『スポーツ』という既存の物差しに当てはめて、世間に認めさせようとする必要なんてどこにもない」ということです。

「カロリーを消費するから価値がある」「運動と同等だから認めてほしい」といった他人の土俵に身を寄せる必要はありません。

スポーツにはスポーツの美しさ(肉体の躍動)があり、ゲームにはゲームにしか作れない独自のドラマ(極限の集中と、そこを潜り抜けた瞬間の圧倒的な脱力感と達成感)があります。

過酷な緊張を乗り越え、画面の前で「ふぅーっ」と深く息を吐き出すあのカタルシス。それはカロリーの数値や運動量などという浅い物差しでは決して測れない、人間の魂(心神)が震える豊かな体験です。

世間のわかりやすいラベルや数字合わせに振り回されず、「自分はいま、すばらしい集中と緊張の中で魂を燃やしたのだ」と自分の感覚(手触り)を素直に認めてあげること。それこそが、情報過多な現代を生きる私たちの健全な軸となります。


4. 画面を閉じ、頭に上った熱を足元へ引き降ろす

対戦やプレイが終わり、コントローラーを置いた夜。

頭の中はまだアドレナリンや残留した緊張で興奮し、目の奥がじんじんと重たく、足元が冷え切っていると感じたら。今夜は「何カロリー消費したか」という無機質な検索をパタンとやめてみましょう。

そのまま画面を見続けて別の刺激を足し算(ドパガキ)するのではなく、静かな部屋でお茶を一杯淹れ、冷えた自分の足元を手でそっと包み込んでみてください。

足裏の「湧泉(ゆうせん)」や内くるぶしの後ろの「太渓(たいけい)」といったツボに、小さなお灸をぽんとひとつ灯してみる。

艾(もぐさ)から立ち上る柔らかい温もりが足元から身体の奥へと伝わっていくと、頭に上り詰めていた冷たいのぼせや激しい緊張の熱が、スーッと足元へ向かって解け落ちていきます。

呼吸がふっと深くなり、カチコチだったお腹が動き出し、生身の体温が身体全体へと戻ってくるのを感じるはずです。

他人の定めたカテゴリーや数字のレースから一歩降りて。今夜は画面を伏せ、自分の足元を温めて、ゲームを楽しんだ愛おしい身体を深く休ませてあげませんか。


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