1. ニュースへの違和感——140〜150台でお薬を飲み、不調になる人々
「健康診断で血圧が高めと言われたら、2年以上放置してはいけない」 「将来の不調を防ぐために、早くお薬でコントロールを始めましょう」
大手ニュースメディアでは、定期的にこのような血圧に関する啓発ニュースが大きく報じられます。
血圧と健診データに関するニュース(要約)
健診で血圧が「要注意」レベルにある人がそのまま2年以上放置した場合、正常血圧の人に比べて将来のリスクが高まるという大型データの追跡調査結果。医療機関では、早めの受診と適切なお薬による血圧コントロールが推奨されている。
もちろん、血圧が180を超えるような極端な高値であれば、私も臨床家として非常に慎重に状態を見極めますし、医療機関での専門的な検査や処置を優先して考慮します。
しかし、私が20年の臨床現場で出会う患者さんの中で、本当に圧倒的に多いのは「血圧が140〜150台だからと『高血圧』のレッテルを貼られ、お薬で無理やり120台まで下げられた結果、かえって強い不調に苦しんでいる人々」なのです。
「お薬を飲み始めてから、全身が重だるくて力が入らない」 「頭がぼーっとして、以前のような気力が湧いてこない」
数字の上では「正常値」になったはずなのに、なぜ生身の身体は悲鳴を上げているのでしょうか。
2. 東洋医学のレンズ——血圧は「全身に血を巡らせる健気な力」
なぜ、身体はわざわざ血圧を140や150にまで上げているのでしょうか。
東洋医学のレンズを通してみると、身体は理由もなく愚かな行動を起こすことはありません。年齢を重ねたり、日々の過緊張や冷えによって全身の通り道(気血の巡り)が狭くなると、身体は「脳や指先の末端まで何としても酸素と栄養(血)を届けなければならない」と判断します。
そして、全身の力(ポンプ)を振り絞って、命を守るために必死で圧力を上げて巡らせているのです。つまり、140〜150という血圧は、身体が健気に命を守ろうとしている防衛反応の現れでもあります。
それを「数字が高いから悪だ」と決めつけ、お薬で力ずくで圧力を下げてしまったらどうなるでしょうか。
必要な場所へ血が届かなくなり、脳や内臓は酸素不足に陥ります。本人は自覚のないまま、じわじわと気力や体力が奪われ、身体の根っこにある生命力(正気)が衰えていってしまうのです。
数値という「頭のデータ」ばかりを検品し、身体が命を懸けて血を巡らせようとしている生身の声を無視してしまう——これこそが、現代社会が陥っている「数字の罠」にほかなりません。
3. 「数値上の長生き」と「自分らしく生き抜くこと」の決定的な断絶
お薬で数値を下げる理屈はシンプルです。「血管にかかる負担を減らせば、理論上は数値上の寿命が延びる」というものです。
しかし、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
お薬で力ずくで血圧を下げ、全身の巡りを弱めてしまった結果、動く気力も体力も自覚のないままじわじわと奪われていく。そうして全身が弱り切った状態で、ベッドの上で機械や数字によって「長生きさせられる」……。
これが果たして、私たちが望む本当の健康なのでしょうか。
私たちが目指したいのは、数字の上だけでだらだらと長生きすることではなく、最期まで自分の足で歩き、美味しく食べ、元気に笑って人生を全うする「自分らしく生き切る姿」のはずです。
身体が本来持っている「自ら血を巡らせる力」をお薬で阻害し、弱らせてしまうアプローチは、私たちが目指す元気な生き方から、もっとも遠ざかってしまう構造的なリスクを孕んでいるのです。
4. 10点のテストに0を足す小学生——数値操作の前に生活を振り返る
都合よく数字だけを書き換えて安心しようとする現代人の姿を見るたび、私はある光景を思い出します。
学校のテストで10点を取ってきた小学生が、親に怒られるのが怖くて、鉛筆で「0」を1個書き足し、「ほら、100点だったよ!」と胸を張って親に報告する——。
やっていることは、まさにこれと同じではないでしょうか。
テストの答案の数字だけを書き換えても、本人の学力や理解度が何も変わっていないのと同じように、お薬で血圧の数字だけを綺麗な「120」に書き換えても、血圧を上げざるを得なかったあなたの生活習慣や過緊張、冷えやストレスは何ひとつ解決していません。
「数値の恐怖」に脅かされ、安易にお薬を足していく足し算思考を、一度手放してみませんか?
自分の生活を素直に振り返ってみてください。
- 昼夜を問わず、スマホや仕事のストレスで頭に血が上りっぱなし(過緊張)になっていませんか?
- 味付けの濃い食事や暴飲暴食で、胃腸に熱や澱を溜め込んでいませんか?
- 足元が冷え切り、上実下虚(のぼせと冷え)の状態で血流が滞っていませんか?
血圧が高くなっているのには、必ず生身の理由があります。数字という結果だけをごまかすのを止め、原因となっている日々の無理を引き算していくことこそが、本当の養生なのです。
5. 1分間の足元手当てとお灸
「健康診断の数値」や「数字の恐怖」という頭のノイズで脳がのぼせ上がってしまったら、まずはスマホや測定器を一度置き、温かい手触りの引き算手当てを試してみましょう。
ツボの正確な位置を探して頭を悩ませる必要はありません。指先の温もりを感じながら、以下のゾーン(エリア)を優しく撫で、お灸や手のひらで温めてみてください。
頭に上った熱と気を降ろす2つの足元ゾーン
- 足の裏の中央エリア
足の指を軽く内側に折り曲げたときに、一番深いくぼみができる足裏の中央ゾーンです。ここは、頭や胸に突き上がった過緊張の気や熱を、一番遠い足元へとそっと引き降り、全身の「上実下虚(頭ののぼせと足の冷え)」を根本から整えてくれる大切な土台です。 - 内くるぶしとアキレス腱の間の凹みエリア
内くるぶしの頂点から、アキレス腱に向かったところにある深いくぼみゾーンです。ここは身体の根っこにあるエネルギー(気血の巡り)を滋養し、不安や焦りで高ぶった心身を穏やかな静寂へと導いてくれます。
ぬるめのお湯で足湯をしたり、足裏や内くるぶし周りを優しく揉みほぐしながら、深呼吸をしてみてください。頭に向かっていた熱が足元へと静かに降りていき、胸のつかえが解けて体温が心地よく巡り始めるのを感じられるはずです。
詳しい手当ての考え方や、指先の手触りで「自分だけの心地よい場所」を見つける具体的なステップについては、ページ下部の【「気のせい」なゆらぎを、お灸でそっと整えて。】でお伝えしています。
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🕯️ 日々を養生する
色々あった一日だけど、今夜は画面を閉じて、自分をいつくしむ時間にしませんか。
臨床20年の私が、毎晩の布団に入る前に実践している、自律神経をふわりと整えるためのお灸の知恵をこちらに置いておきます。

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